フグ科魚類は両顎に4枚の歯を持つのが特徴で、学名もこれにちなむ。体は小棘でおおわれるものもいるが、ハリセンボン科魚類のような強い棘ではない。背鰭には棘がない。
世界では26属約180種、日本には7属53種が分布するとされる。海水域にすむもののほか、海水にすみ汽水域に入るものや、一生を淡水域でくらすものがいる。
この科にふくまれる魚の殆どすべてが有毒で、ヒトを死に至らしめるような強い毒をもつものもおり、素人料理は禁物である。また皮膚から毒を出すものもあり、他の魚と飼育していると、他の魚を殺すことがある。それでもキタマクラ属のものやモヨウフグの仲間など色彩が美しいものも多く、観賞魚として人気がある。一部の種は淡水の熱帯魚として販売されているが、なかには汽水域に生息する種類もおり、そのような種類の飼育には塩分があるとよい。
① 下関ではふぐのことを「ふく」と言うって聞いたんですが本当ですか?
②下関はふぐで有名なのはなぜ?
③ふぐはいつから食べられるようになったんですか?
④ 現在のふぐ食が解禁されたのはいつ?
その後江戸時代も武士に対してはふぐ食を禁じる藩が多く(特に長州藩は厳しく)、ふぐ食が発覚した場合には家禄没収などの厳しい処分が下されました。
⑤ふぐの毒って?
山口県では昭和56年にフグの販売および処理の規制に関する条例が改められ、 ふぐ処理師免許・ふぐ処理施設届出証を揚げたお店の、熟練と知識によって美味しいふぐが食べられるようになりました。
当社取り扱いがあるふぐの種類別、可食部位
ふぐの種類 | 筋肉 | 皮 | 精巣 |
トラフグ | 〇 | 〇 | 〇 |
マフグ | 〇 | × | 〇 |
ゴマフグ | 〇 | × | 〇 |
シロサバフグ | 〇 | 〇 | 〇 |
トラフグってどんなふぐ? トラフグ
Takifugu
rubripes (Temminck and Schlegel, 1850)

形態・特徴 | 全長70cmにもなる、トラフグ属中では特に大きくなる種。大きく、白く縁取られた黒色斑とそれに続く黒色小斑が特徴。幼魚のうちは白色斑がある。カラスに似るが、トラフグの臀鰭は白色、もしくは赤みをおびるのに対し、カラスは暗色。 |
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分布 | 北海道~九州までのほぼ日本各地沿岸。~サハリン、沿海州、朝鮮半島、済州島、中国、台湾。 |
生息環境 | やや沖合に多い種であるが、幼魚のうちは沿岸域にも多い。河口にも姿を見せる。 |
食性 | 肉食性。甲殻類、小魚、貝類などを食べる。 |
その他 | 産卵期は春季から初夏とされ、卵は沈性粘着卵。本種はふぐ料理として重要な種であるが、卵巣や肝臓などに強い毒があるので、調理はプロに任せること。延縄や底曳網で漁獲される。山口県下関が産地として有名で、ほか九州などでも水揚げされる。現在は養殖も盛んに行なわれる。 |
マフグってどんなふぐ? マフグ
Takifugu
porphyreus (Temminck and Schlegel, 1850)

形態・特徴 | 胸鰭後方に大きな暗色斑があること、体表に小棘がないことでナシフグに似るが、本種では胸鰭後方の暗色斑が白色の模様で縁取られないことから区別できる。トラフグやカラス、ナメラダマシでは背部、腹部に小棘がある。 |
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分布 | サハリン以南の日本海、北海道以南の太平洋岸。黄海、東シナ海。 |
生息環境 | 沿岸域から大陸棚縁辺に生息する。 |
食性 | 肉食性で甲殻類や軟体動物を捕食する。小魚も食べる。 |
その他 | 本種は卵巣、肝臓、皮膚などに毒がある。筋肉は無毒とされるが、調理はプロにまかせること。別名ナメラフグと呼ばれ、東シナ海北部と黄海に分布するナメラダマシと似るが、ナメラダマシでは背部、腹部に小棘があるのに対し、本種ではそれがない。 |
ゴマフグってどんなふぐ? ゴマフグ
Takifugu
stictonotus (Temminck and Schlegel, 1850)

形態・特徴 | 体は比較的細長い。背・腹面に小棘があることでショウサイフグと区別可能。体側背部には小さな斑点がある。 |
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分布 | 北海道以南の日本海岸、北海道~土佐湾までの太平洋岸、瀬戸内海、東シナ海沿岸。~朝鮮半島、済州島、黄海、ピーター大帝湾。 |
生息環境 | 沿岸からやや沖合に生息する。 |
食性 | 肉食性。 |
その他 | 卵巣と肝臓に強毒がある。筋肉と精巣は無毒とされるが、調理はプロにまかせること。 |
シロサバフグってどんなふぐ? シロサバフグ
Lagocephalus
spadiceus (Richardson, 1845)

形態・特徴 | 胸鰭は暗色ではない。背部に小棘があるが、この棘は胸鰭先端の前方にしか達しない。鰓孔は白い。体側に目立つ斑紋がないことでクロサバフグを除く日本産サバフグ属の他種と区別可能。クロサバフグとは尾鰭が湾入する、もしくは弱い二重湾入になることで区別可能。体長30cm前後。 |
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分布 | 鹿児島県以北の日本沿岸、東シナ海。台湾、中国沿岸。 |
生息環境 | 中層遊泳性。沿岸域から沖合にかけて見られ、クロサバフグよりも沿岸性とされている。 |
食性 | 肉食性。甲殻類、軟体動物などを捕食する。小魚も捕食し、ルアーでも釣れるという。 |
その他 | 産卵期は九州では5~6月とされている。卵は粘着物層をもつ沈性卵。釣りや底曳網で多量に漁獲される。 本種はLagocephalus wheeleriの学名で報告されていたものだが、この学名はLagocephalus spadiceusのシノニムとされた。 日本産の個体による中毒例はないものの、東南アジアや南シナ海産のものは有毒とされており、同定や調理はプロに任せること。 |